てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

予想外の好編『ギネ 産婦人科の女たち』

 今10月期の連続ドラマもそろそろ終盤に向かって疾走しているところですが、世評では、『JIN−仁−』(TBS)が圧倒的に好評のようです。それ以外のドラマとして「一部玄人筋」でNHKの『行列48時間』やMBS『深夜食堂』が好評のようです。

 で、私のこれらの作品への印象としては、『JIN−仁−』については世評に同感。これだけ精巧にタイムスリップした先の時代を現実に存在するかのように見せる腕前。TBS製作陣の底力を垣間見た思いがします。詳述はいずれさせていただきたいと存じますが細かいところでも巧さが光ります。
 『深夜食堂』も確かにイイ。昔どこかで出会った懐かしい場所がそこに存在するような、そういう感慨が作品全体に漂っています。技巧的でなく素朴かつ無造作に放り出された心地よさが漂っています。魅力的な作品です。

 一方、『行列48時間』って、どうなんでしょう?ネットを見回してもやたらと絶賛している人がいらっしゃるのですけど、ホントに面白いのですか?まだ第1回を観ただけなのですけど、行列に並ぶ主人公を中心にさまざまな人々がラストに向かって突き進んでいく、という発想自体はひょっとすると面白いのかも知れません。ですがその展開が私にはどうにも技巧的すぎてハナについてしまう。やたらと作り込まれた人工的なお話という雰囲気がプンプン漂ってしまうのです。そこが面白いのだ、ということなのかも知れませんが、残念ながら私には、行列に並んでいる主人公の閉塞的な世界の描写がどうにもつまらないのです。こういうドラマだと、行列に並ぶ前後左右の人物とのやりとりの面白さを見せることで閉鎖的な世界の中にほのかに小宇宙の面白さを感じさせなければならないと思えるのですがそれがあまり成功していないようにみえます。
 というわけでどうにも私にはこの作品の面白さがよく分からない状況であります。まぁ、まだ第1回を観ただけなので若干、時機を逃してしまうかも知れませんがすべて見終わった段階でまた触れたいと思います。

 以上が10月期の連続ドラマに関する世評とそれらへの私のスタンスなのですけど、もう1本、ぜひとも見ておいていただきたかったドラマが『ギネ 産婦人科の女たち』であります。

 『ギネ 産婦人科の女たち』の脚本を手がけられたのは大石静さん。大石さんといえばドラマ脚本家としてはもはやビッグネームクラスなのかも知れませんが、どうも私とは相性が悪いのです。これまで私にとって大石さんのドラマでイイ!と感じたのは『連続テレビ小説/ふたりっ子』ぐらい。
 そういうわけで今回もあまり期待せずに見はじめたわけなのです。

 ところがですね。開巻一番、まったくもって驚かされてしまったのです。
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いまひとつの『おひとりさま』(TBS)

 う〜ん…。
 ついつい、そういう、うなり声といいますか嘆きを出してしまうのが、『金曜ドラマ/おひとりさま』(TBS)であります。

 三十路を越え一人で元気に楽しく暮らしている女性、いわゆる「おひとりさま」を主人公にしたこのドラマ、脚本が尾崎将也さん、制作がMMJ、と来ればどうしてもあの阿部寛夏川結衣主演の傑作『結婚できない男』を思いおこすわけです。これは『結婚できない男』の女性版か!と期待させられたわけです。四十を越えた独身男の偏屈さを客観的な目線でユーモラスに、そして好意的に描きなかなか面白かった『結婚できない男』の作り手だけに、今回の「女性版」に俄然期待させられたわけです。

 しかしねぇ。これはちょっと肩すかしです。

 主人公の「おひとりさま」は観月ありささん。丁寧にじっくりヒロイン像を生みだそうとされてますが、元になる作り手側の人物造形がどうもピンと来ない。なぜこの年齢まで「おひとりさま」で来られたのか。やはり「ああ、なるほどねぇ。いるいる、こういう人、私の周りにも」…と多少とも納得させられるものが欲しかった気がするのです。それは役者だけ頑張ってもどうしようもありません。脚本や演出などがキチンとそのあたりのところを浮き上がらせるよう作劇上で配慮しておかねばならないはずなのです。
 この「おひとりさま」は、はじまって数回で、さほど素性も分からない小池徹平扮する男性と同居する羽目になっても大きく抵抗することもなく受け入れますし、小池徹平扮する男性にも強がったりせず、素直に弱いところをさらけだして話します。う〜む。みていて、ちっとも、この年齢まで「おひとりさま」でやって来た原因が理解できないのです。「さもありなん」というところがないのですね。

 敢えて好意的に説明するとすれば今回出会った小池徹平を好きになったから素直になれた、ということかも知れません。ですがそういうことならまず最初の数回はもっと男性関係にガードを張っていたり、あるいは異性に淡泊な性格だったりといった要素を入れておくべきだったのではないでしょうか。そういう、それまでの彼女の生き方が端的に表現される風景が用意されていないものだから、なぜこれで今まで一人でやってきたのかが、さっぱりわかり得ないのです。
 もちろん、そういう「おひとりさま」の生き方を積極的に彼女は選択してきたのだ、という説明は成り立つのですが、それにしては弱気なところを男に早く簡単に見せすぎでそのあたりの整合性がとれていないような気もします。
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藤田まことさんが『JIN−仁−』を病気降板

 さて10月クールもそろそろ中盤を迎えていますが、今のところ、個人的に最も楽しみにしているのが『JIN−仁−』(TBS)だったりします。本ブログでも第1回目の段階で絶賛しました(こちら)。第1回目を見ただけで絶賛した手前もあり、その後の展開を気にしていたのですが、幸い快調な展開でホッとしています(笑)。

 ある日突然、江戸時代・幕末にタイムスリップしてしまった外科医がそこで最新医療を施すことで時代を変えていく。
 一歩間違えば荒唐無稽な設定ですが、江戸時代の社会を濃密に細かく丁寧に描くことで「本物感」を生むことに成功していますね。

 現代に生きていれば、特段「大きな存在」でもなかった外科医がタイムスリップしたことで「時代」を動かすほどの立場に立つ。主人公の興奮と戸惑いが見る者にも伝わってきます。そのあたりが視聴者の心をとらえたのでしょうか。視聴率的にも好評のようです。

 こうして好調な『JIN−仁−』ですがちょっと残念なニュースが入って参りました。
 後半部分に出演が予定されていた俳優の藤田まことさんが病気のため出演をキャンセルすることになったというのです。
 以下、詳しいデイリースポーツのネット記事を引用してみましょう。
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「デイリースポーツオンライン」より引用
http://www.daily.co.jp/gossip/article/2009/11/16/0002518467.shtml

藤田まこと またしても“闘病降板”

 俳優・藤田まこと(76)が「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」のためTBS・MBS系の連続ドラマ「JIN-仁-」(日曜、後9・00)を降板することが15日、TBSから発表された。収録の参加前に健康診断を受けたところ疾患が認められ、ドクターストップがかかったという。藤田はファクスで「撮影の日を心待ち致しておりましたが、断腸の思いであります」とコメント。代役は中村敦夫(69)が務める。藤田は08年4月にも食道がんのため、舞台を降板している。
  ◇  ◇
 昨年4月にも食道がんで舞台「剣客商売」を降板した藤田が、今度は慢性閉塞性肺疾患の治療に専念するため、新門辰五郎役で出演予定だったTBS系「JIN-」を降板することになった。今月上旬の定期検診で肺疾患が発見され、同中旬から予定されていた収録への参加を断念した。
 関西在住の藤田は昨年、食道がんの手術を終えて12月にはテレビ朝日・ABC系「必殺仕事人2009」で復帰したが、実はその収録も京都のリハビリセンターから撮影所に通う形で行っていたという。今回のドラマ収録は東京で行われているため、つぶさに様子を見守ることができない危険性を主治医が指摘。梗塞(こうそく)の前兆である脱水、貧血の症状もあったため、藤田も入院して治療に専念する道を選んだ。
 またしても病に仕事を邪魔された藤田は「作品の魅力に加え、スタッフ・出演者の皆さまとの出会いを楽しみに撮影の日を心待ち致しておりましたが、断腸の思いであります」と悔しさをにじませている。高視聴率ドラマでもあり、意欲を持って東京でのホテルや移動車の相談などもしていたという。年内は「仁-」だけに仕事を絞っていたためほかへの影響はなく「一日も早い復帰に努めて参る所存でございます」と情熱を燃やしている。
 新門辰五郎は江戸時代に実在した火消しで、劇中では9、10、11話に登場し、主人公・仁(大沢たかお)のよき理解者となる役どころだった。
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森繁久彌さん追悼で、中居正広さん出演の幻ドラマが初放送

 さて、森繁久彌さんが亡くなられたことで各局、追悼番組が組まれています。中には貴重な映像がみられたり、古い出演ドラマが流れたりしますので気をつけていないと大きなものを見逃す恐れがあります。
 そんな追悼番組の中に、制作されたのに放送されないまま長年オクラ入りしていたドラマが放送されることになったようなのです。
 以下、産経ニュースから引用してみましょう。

msn産経ニュースより
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/091112/tnr0911121820006-n1.htm

【森繁さん死去】フジテレビが14日に未放送ドラマを追悼放送
2009.11.12 18:17

 俳優の森繁久弥さんの死去を受け、フジテレビは12日、追悼番組として、森繁さん主演の未放送ドラマ「銀色の恋文」を、14日午後1時15分から関東ローカルで放送すると発表した。
 同局によると、ドラマは平成6年に単発の2時間ドラマとして収録されたが、番組編成の都合で未放送となっていた。森繁さんの孫役を人気グループSMAP中居正広さんが演じているほか、奈良岡朋子さん草笛光子さんらが出演している。


 以前から中居正広さん出演ドラマの中に、長年放送されずにオクラ入りしているドラマがある、という噂はファンの方々の情報では存在していました。どうやら、それがこの『銀色の恋文』だったのですね。
 長年放送されないままだったというこの作品、森繁さんご本人は見ることが出来たのでしょうか。そのあたりちょっと気になります。
 あるいは長年、放送が見送られてきた事情は何なのか?とか気になりますし、放送が見送られて実に15年になるわけですが見送っていくうち、途中から「森繁さんが亡くなったときに放送すれば話題になるな」なんて不謹慎なことを考えるようになっていたのではないだろうな!とちょっと邪推してしまいます。まさかそんなことはないと思いますが。
 放送が待ち遠しいわけですが、な、なんと!今のところ残念なことにこのドラマ、関東地区のみでの放送の予定だというのです。
 う〜む。中居正広さんも出演されているわけですが、関東地区以外の中居さんのファンの方々からも「見たいコール」が出て来るのではないですかね。
 ぜひ大阪でもオンエアしてほしいものです。全国のFNSネット局のみなさん、そして私にとってはわが関西地区の系列である関西テレビさん、ネット受け、急でしょうが何とかよろしくお願いします(笑)

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高い目線のテーマだけでは作品が持たなかった『チャレンジド』

 いけません、いけません。このブログの更新が大幅に滞ってしまっていました。
 ここしばらくで10月開始ドラマをおっかけはじめているのですがそのためにブログを書く時間がとれない循環に陥っておりました。

 さて、そんななか、予定通り全5回で終了を迎えたドラマが出て来ました。土曜ドラマの『チャレンジド』(NHK)です。このドラマ、ご存知のとおり全盲の教師が主人公のドラマなのですが、私自身は何も予備知識もなく見はじめました。見はじめてようやくこの「チャレンジド」というネーミングの意味を知った次第です。
 観る前は、このドラマの脚本家が私とはあまり相性がよろしくない書き手であることが一抹の心配でありました。TBSの『逃亡者』『輪舞曲』あたり、あるいは記憶に新しいところではテレ朝の『生徒諸君!』。これらがこの脚本家による作品なのですが、残念ながら私にはこれらの作品群にあまりいい印象を持っていないのです。
 ところが第1回目を見終えたところでは、案外、そこそこ面白かったのです。やや同僚教師の描き方が図式的ではありましたが、目の見えない主人公が自ら「助けて欲しい」と声を発するあたり、なかなか引き込まれるものがありました。「なかなかやるじゃん」とちょっと感心させられたのです。ようやくNHKでじっくりとやりたい素材を手がけられたので本領を発揮されたのかと期待を持ち始めたのです。

 ですが、残念ながらこのドラマでも回を追うごとに主題が見えなくなってしまいました…。盲目の先生がいかにして生徒たちとの意思疎通を図るのか。果たしてそんなことが可能なのか。そんなところに私は興味を持つわけです。目が見えない教師の姿。そのこと自体にもっと焦点を絞るべきではなかったのか。全5回を見終わってみると、昔どこかで見た描き尽くされた「先生と生徒のドラマ」に先生が盲目であることが加わっているだけの印象を持ってしまったのです。

 そもそも、一番疑問なのはなぜここまで次々と劇中に「事件」を勃発させるか、というあたりです。かなり過剰な事件が続々と劇中で発生するのです。パニック症候群に悩む生徒が登場したり、修学旅行で生徒の行方不明事件が起きたり…。
 そんな表層的な事象ではなく、日常の教育現場の中で全盲の先生がいかに生徒たちと意思疎通を図っていくか。そのプロセスをじっくり描き込むべきだったのではないでしょうか。
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