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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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2010年のテレビドラマベストテン選考に参加しました。

 ずいぶん更新から間が空いてしまい申し訳ありません。
 ここしばらく、残念なことにじっくり掘り下げて書きたくなるドラマがあまりないのですね。どうも最近はツイッターで超短文の感想を書いてしまっています。→ http://twitter.com/furusaki_y

 4月期の連続ドラマについてはおいおい書かせていただくとして、今回は昨年度のベストテンについて投票を済ませましたので、私の昨年度のベストテンの投票内容をご紹介したいと思います。

 投票先は例によってドラマや映画に関するライターとしてご活躍されている進藤良彦さんが主宰されている「K・ドラマフィルカンパニー」の2010年度のテレビドラマベストテンです。開始から今回で14回目を数える企画です。毎回、投票メンバーに加えていただいておりまして投票させていただいています。

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古崎康成の2010年度連続ドラマ年間ベスト・テン

1位 ゲゲゲの女房(NHK)

 戦後間もない時期から現代に至るまで、身近な戦後マンガの発展史をたどりながら舞台は山陰から東京郊外、調布へ。その時代風景の緩やかな変遷をたどりつつ、極貧生活から徐々に生活が向上する主人公たち家族の姿が、多くの人々がかつて経験した経済成長の記憶とシンクロ。社会が徐々に今の形になっていくプロセスも追体験することができたように思います。
 途中からは、登場人物の個々のキャラも魅力を帯び、後半からは、もはや個々のキャラが、画面内を自由に動き回っているかのような感覚を覚えてしまうほど、ゆったり、のびのびとした感覚が横溢していました。最終回近くになってもまだまだいろんな話題がさらさらと紡ぎ出されて、まだまだいろんなエピソードを盛り込めそうなぐらい、余力いっぱいでゴールインしたように思えます。
 このおもしろさは何なのだろう?と思ってしまう。毎日毎日、チャンネルをひねるのが楽しみでした。まさに「連続テレビ小説」だからこそ味わえるおもしろさを満喫させていただきました。決してドラマ通の玄人だけに受けるドラマではない。そのあたりが例えば『連続テレビ小説』の最近の成功事例である『ちりとてちん』などの玄人受けする凄さ、面白さ、とも違う。まさに今後も「連続テレビ小説」が目指すべき王道のようなドラマではないかと思えてくるのです。
 大衆性があって多くの人が受け入れて登場人物と共に泣き笑いするかのような錯覚。かつて多くの人気ドラマに備わっていた魅力がこのドラマには満ちていたように思います。

2位 龍馬伝(NHK)

 司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」以来なのかそれはよく分かりませんが、少なくとも長年、多くの「龍馬の物語」が定石のように見せ場としてきたところをこのドラマは、意外なほど、サラッと、描きました。例えば、千葉道場における「さな」との恋愛模様などは、思わず「おいおい」と言いたくなるほど、淡泊すぎるほどの描きぶりに映りました。一方で、武市半平太の死に至るプロセスを執拗なまでに延々と描きました。この『龍馬伝』は、これまでの「龍馬の物語」と比べ、そのあたりの重心の違いが際だっていたように思います。
 その意図がある程度、明らかになったのはドラマ終盤、第43話「船中八策」に至ってです。これまで散発的に描かれてきたかのようだったこのドラマの個々のエピソード。龍馬が経験したいろんな人たちとの出会い。ぶつかりあい。人の話を先入観なしで聴く、という龍馬の持つ特質。だからこそ実現できた成果。それが一気に集約された感があり、ちょっとした感動的なカタルシスを感じさせられました。
 そして、やはり思うのは、これがこのドラマの脚本家・福田靖氏ならではの視点なのだということです。『HERO』や『CHANGE』など、これまで国の権力機構に視線を向けてきた脚本家ならではの視点であります。その中に漂う、政治や行政などの国家観のようなもの思想を唯物的でなく個々の人物の思いの総体という形で組み立てていく、そういう、この作家の持つ一つの方向性が、『龍馬伝』にたどり着いた。作家の中で思想が深化するプロセスを同時体験しているようなライブ感覚。そんなものをいっしょに味わっているような、そんな錯覚すら漂う、感動的な大河ドラマでありました。

3位 SPEC スペック(TBS)

 開始当初から、意外性の連続で、ずいぶんと楽しませていただきましたが、最終回に近づくにつれ、話はグングンと想像を超えてエスカレート。ついには超能力で人間を「殺す!」という描写が、「ダルマさんになる!」という描写だけで表現されるという、シュールな世界が平然とテレビドラマの中で成り立った。これだけでも驚くべきことだが、時間の進行を極限まで遅くさせる超能力を持つ一十一(ニノマエ ジュウイチ)(神木隆之介)と、当麻(戸田恵梨香)・瀬文(加瀬亮)との闘いもラスト1回前で最高潮を迎え、ニノマエが時間を(ほぼ)静止させていたはずのシチュエーションで、戸田恵梨香がニヤッと笑ったところはまさに、オオッと驚かされる展開でありました。
 このラスト1回前までの展開を見ていると、この作り手の力量であれば、ラストをある程度、調和のとれた結末に持って行くことは十分に可能だったことがうかがえます。でも、それをしなかった、と見たほうが適切ではないか、そう思えます。あえて、収束する結末にするのではなく、拡散した結末にする。そのほうが、この『SPEC』というドラマにはむしろふさわしい。そう作り手が考えて、こういう結末を選んだ、と思えるのです。作り手が、ドラマの展開を制御できずにやむを得ずヘンテコなラストに至った、というのではなく、むしろ必然としてこういうラストを選んだ、ように映りました。

4位 Q10 キュート(日テレ)

 どこにでもありそうな普通の高校生の淡々とした目線から「人生の残酷な真実」のようなものが描かれています。佐藤健扮する主人公の、ごく平凡な楽しい家族の幸福。その幸福な満ち足りた瞬間に彼は気づく。「この、ささやかな幸せが永遠であってほしい」と。ひょっとすると永遠に続きそうにみえる、そんなどこにでもありそうなささやかな幸せも、実は有限なのだということ、やがて消えてしまうのだということ。その「人生の残酷な真実」というものに気付いてしまう高校生が描かれていました。
 このドラマは、ごく普通の高校生が時にナイーブに、繊細に、どこにでもありそうな日常の風景の中から、普遍的な人生の真実、のようなものを見いだしていきます。どこにでもありそうな平凡な風景。平凡さの中にこそ実在する、「物事の根本原理」というもの。それが、ごく平凡な高校生の目線を通じて描き出されているのです。そこで導き出される「物事の根本原理」は、時に悲しい「人生の真実」に光を当ててしまう。「永遠」というものは「実は」存在しない。だから人生もはかない。そんな「はかない」人生というもの。そんな現実の中で我々は生きているのだという「真実」…。このドラマは、悲しい、切なくて、はかない、「現実」というものに、気付いてしまう高校生という、きわめて深い視点にチャレンジしているドラマなのです。
 土曜21時という、ごく気楽な時間帯の民放ドラマで、そんなものに挑戦しているというのは、ひょっとすると、もの凄いことなのかも知れないのです。

5位 MOTHER(日テレ)

 最近の多くのドラマが失いつつあるものが、『Mother』には残っている。そう映りました。冒頭の数回をみてそれが分かりました。ああ、このドラマは物語の呼吸をキチンと織り込んでくれているなぁと。
 広い北海道の海をゆったり、じっくり、長めに描く。そこには時間の余裕が漂っています。「何が何でも、番組の途中から、ちょっとチャンネルを替えてやってきたチラ見の視聴者を引き止めよう」と言うような、切迫感はない。
 じっくり、この作品の世界に浸ってくれる視聴者にだけ観ていただきたい。そういう「潔さ」がここで伝わってくるのです。音楽の「垂れ流し」もありません。じっくり「無音」が続くことも恐れない。
 要は「物欲しそう」ではないのですね。こういうのは作り手にどこか気持ちの余裕があるからこそ産まれるものかも知れません。

6位 10年先も君に恋して(NHK)

 10年先に離婚しようとしている夫がタイムマシンで現代に戻ってきて結婚をやめさせようとする…ひと言で言ってしまうと、そういう、ちょっぴり荒唐無稽なドラマなのですが、その「前提」を受容して視聴すると、大森美香さんらしい、丁寧な描写についつい引き込まれていきます。
 彼とは結婚したのに10年先、離婚しそうになっている。ヒロインはそれを知ってしまったにもかかわらず、現実の目の前の現在の彼の純朴さに魅き込まれてしまう。さらに10年先の彼の、成長した大人の魅力に触れ、彼を一層、好きになってしまう。そんなヒロインのつらい心の動きが観ているこちらにも伝わってきます。将来、離婚して不幸になる可能性が高いと知ってしまった。それにも関わらず、今の彼に惹かれる…その気持ちを吹っ切れない。このあたりの微妙な心理を上戸彩さんがうまく演じています。上戸さんは昨年も『婚カツ!』で魅力的な芝居をされていましたが今作でも魅力的です。今が旬(しゅん)の役者さんの魅力を存分に生かした演出と脚本も素晴らしいわけです。ただもう少しこの作品に対して欲を言いますと、もう少し弾けたところが欲しい、そんな気がします。あまりにもキレイに品よくまとまり過ぎている気配が漂うわけです。また、タイムスリップという設定それ自体に無頓着な面があるように感じます。それがちょっと気になります。もっぱらタイムスリップという設定を「飛び道具」と割り切ってしまっているようなのです。それならそんな「枠組み」なしにこういう身近な恋物語を味わわせて欲しかった気もいたします。

7位 セカンドバージン(NHK)

 最初は、極めて個人的な、不倫をめぐる愛のトライアングルの相剋劇だった物語が、徐々に拡大、妻が夫の不義を知り、報道機関や検察に暴露するに至り、やがて経済犯罪で世間を揺るがす社会的大事件にまでスケールアップしていくその物凄さ。世間を席巻する様々な社会的な事件というものはすべて本作のように根源は人々の心理的な思いが積み重なって生じている…そのことを端的に浮かび上がらせてくれた面があります。
 その一方で、鈴木行(長谷川博己)の持つ長所と短所。例えば、若さゆえの自己の知性への疑いなき自信と過度の慢心。そして他者の軽視。単純な価値観。そういった若々しい一面が、中村るい(鈴木京香)の心を捉えていたことが出版社社長(段田安則)の目を通して間接的に語られていたあたりは、単純に心理説明だけでなく、この作品に価値観の多様性を与えていたように思います。
 ちょっと残念な部分は、例えば鈴木行(長谷川博己)の人物造型。これがいかにも女性から好かれる理想的な男子像すぎるところ。このあたりは同性から見るとちょっと食い足りない。あるいは、物語の展開もちょっと絵空事じみてしまっています。

8位 新参者(TBS)

 「人形町」という、東京の下町にある「街」を描いているのですね。犯罪を追う主人公を通じて、この街に住む様々な境遇の様々な人々の、息遣いを丁寧に追って行くという趣向。犯罪を追う事件もの、と捉えるとこのドラマの本質を見失ってしまうわけです。
 そのあたり、刑事ドラマなのか、それとも人情ドラマなのか、あるいはそれ以外の何かなのか、という作品自体のアウトラインの曖昧さにもつながっていました。そこが魅力でもあり、「捉えどころのなさ」にもなっていたように思えます。
 そのあたりが巧く作用した回、例えば第1回目あたりはかなりの完成度で思わずググッと引き込まれるものがありましたが、その後の中間部分のエピソードの中にはちょっと冗長に感じられる部分も少なからず見られましたし、後からこのドラマをもう一度、見返すというとき、どうしてもそのあたりは端折ってしまいたくなるわけです。個々のエピソードのいずれもが光り輝いて愛らしい、そういうドラマには残念ながら至っていないわけです。ただ、そのことが逆に強烈な作品の個性にもなりえているのが不思議なところでもあります(笑)ま、阿部寛さんが相変わらずいい味だしてましたね。

9位 チェイス~国税査察官~(NHK)

 最初、第1回目を見たとき、「おおっ!これはなかなか面白いな」と感じました。いったい誰が脚本を書いているのだろう?なかなか面白いじゃん。そう感じたのです。で、ラストに流れたスタッフのクレジットを見て、脚本が坂元裕二さんと知り愕然としました。明らかに作風がちょっと変わった、そういう印象を受けました。「租税回避行為」とそれを追う国税査察官、という作品のテーマ自体、一般の視聴者にとってはあまりなじみがないわけで、それをある程度、分かりやすく明示し、「租税回避」という「無味乾燥の事象」をここまで巧みに一対一の人間ドラマ的要素を盛り込んで、最後まで見せていくところに持っていった、その「筆力」には感心させられるのです。拍手を贈りたいほど。
 ただその後、2回目以降の展開にはちょっと残念なところもありました。ARATA演じる脱税行為のアドバイザーが、江口洋介扮する査察官に積極的に接近し、相手を知らないまま対立的な存在にあった二者に、直接的な人間関係を生じさせてしまいました。これはどんなものなのか。お互い追っている相手を知らないまま間接的にドラマを進行させていけば、もっとスゴイドラマになったような気がするのです。実際、第1回から第2回ぐらいまでを見た段階ではまだ「追う相手」「追われる相手」の顔を直接は知らないまま追跡劇(チェイス)が展開していており、それがなかなかうまくスリリングな関係が成立していた。これはひょっとするとなかなか面白い作品になるのでは、と期待を高めようとした矢先、前述のように敵同士が接触してしまうのです。これはちょっと肩すかしの面がありました。賛否の分かれるところではあるのです。ただ、その一方で、「追う者」と「追われる者」が直接的にぶつかることで分かりやすい人間ドラマ的要素が盛り込まれ、一般的な視聴者が求める「明解な面白さ」のほうは十分確保できた、といえるのかも知れません。

10位 モテキ(テレ東)

 月並みな表現ですが、等身大の若き男性の恋の悩みがかなり切々と丁寧に描かれているところがイイです。しかもその悩みをかなり踏み込んで描いている。その生々しさは、テレビドラマとしてはひょっとすると前人未踏の仕事だったのかも知れません。
 このドラマを見ていると、当たり前のことに気づかされます。それは、世の中は、いわゆるカラッと明るい男性ばかりじゃないんだ、ということ。当たり前のことなんですけど、テレビドラマの世界はどこか、洗練された美男美女の恋愛ばかりが描かれてきたような気がしてしまうのです。こういう、性体験と恋愛にコンプレックスをもったまま、行ったり来たり悩みまくっている男性というのは少なくないということに気づかされるわけです。プライドばかり高くてなかなか好きな女性に接近できない。好きだから嫌われたくない。だからやたら距離を置こうとする。そういう悩みがぐるぐると循環している。恐らく後になってみればなんであんなことで悩んでいたのだろう、と思ってしまうけど若いあのときの本人には切実な問題だった。そういう不器用な恋愛が悲しいまでに生々しく突きささってきます。
 そして、このドラマ、世の内向的な若き男性の恋と性の悩みが描かれているように見えて、一方として、そういう男性に惹かれてしまった女性のツライ気持ちも描いていることに気づかされます。
 現実にありそうな話がここまで魅力的に描き出せてしまうのだなと感銘を受けました。


 以上です。

 もう一度、順位だけ並べてみます。

1位 ゲゲゲの女房(NHK)
2位 龍馬伝(NHK)
3位 SPEC スペック(TBS)
4位 Q10 キュート(日テレ)
5位 MOTHER(日テレ)
6位 10年先も君に恋して(NHK)
7位 セカンドバージン(NHK)
8位 新参者(TBS)
9位 チェイス~国税査察官~(NHK)
10位 モテキ(テレ東)

 かなり個人的なカラーが出ています(笑)

 ドラマの好みは人それぞれです。皆様もベストテンを作ってみてはいかがでしょう。
 ちなみにテレビドラマデータベースでは昨年度のベストテンを募集しています。本来ならもう締め切りを過ぎているのですが、集計者である私自身が多忙でまだ集計できていません。今月中ぐらいならロストタイムということで投票をお受けいたします。
 開催場所は「旧作掲示板」( http://hyper1.amuser-net.ne.jp/~rbbs3/usr/rm1yfrsk/brd1/dengon.cgi )です。どうぞふるってご投票くださいまし(笑)

 ところで、Kドラマフィルカンパニーのベストテンの全体投票の結果は今、進藤さんやスタッフの方々がせっせと集計中だと思います。お忙しいので結果が出るのは少し先でしょうが、ゆっくり楽しみにしておきたいと思います(笑)

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