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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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脚本家・大野靖子さんの訃報と1月期ドラマの現況

 どうも更新がご無沙汰しております。
 なにゆえ更新が滞っていたのかと申しますと、やはり書きたくなるドラマが残念ながらこの1月期は少なかったというところが大きいように思います。
 前に書いたドラマ群は相変わらずの状況のまま、ほぼエンディングを迎えつつあります。やはり導入部が芳しくないとそこから挽回というのは難しいのですね。
 そんな、不調だった1月期のドラマ群の中で数少ない健闘ドラマだった『美しい隣人』(関西テレビ)はここへきてさらに盛り上がっています。その盛り上げ方も見事であります。
 それ以外、おおかたのドラマファンの興味は2月以降、遅れて始まった作品群に移ってしまっているようです。たとえば『TAROの塔』(NHK)や『四十九日のレシピ』(NHK)あたり。私はまだ未視聴の部分がありますのでいずれ言及させていただきたいです。あるいは2時間ドラマなどの単発ものに興味が移っているようです。先日放送された単発ドラマ『ドラマスペシャル/遺恨あり』(テレビ朝日)あたりはドラマ好きの感触がかなり良好で良質のドラマだったようです。(残念ながら私は見逃した上に録画も出来ていませんので再放送でもない限り視聴できませんので本ブログで詳述できないのですが)。


 というような状況の中で、またお一人、脚本家の大野靖子さんの訃報が入ってきました。大野靖子さんといえば私がドラマを見るようになった1980年代以前から旺盛に活躍されてきた書き手です。最初から大野靖子さんのドラマならまず間違いない、というようなイメージが醸成されている書き手でした。

 テレビドラマデータベースで大野靖子さんの作品歴を見返すと、実に多くの名作と呼んでいい作品が並んできます。

大野 靖子 - テレビドラマ人名録 - ◇ テレビドラマデータベース ◇
http://www.tvdrama-db.com/name/p/key-%E5%A4%A7%E9%87%8E%E3%80%80%E9%9D%96%E5%AD%90

 1980年代より前の大野靖子さんの作品としては、『三匹の侍』『若者たち』そして、大河ドラマ『国盗り物語』『花神』、『紅い花』などが浮かびます。あるいは『傷だらけの天使』や『木枯し紋次郎』なども助っ人として数本だけ関与されているだけなのですがいずれも一定の高いレベルを維持された出来のものを提供されています。
 そして今挙げたこれらの作品は断片的あるいは全部が保存されていて今でも視聴できるドラマですが、それ以外の名前だけ並んでいる作品群の中にも当時の批評などを分析する限り、おそらくは優れた作品が存在していたことがうかがわれます。その多くは現代では散逸して所在不明になってしまって見ることはかなわないのかも知れませんが。

 1980年代以降の大野靖子さんの作品として私がとりわけ印象に残るのはやはり松本清張さん原作の2時間ドラマ群です。
 松本清張さん原作ドラマを大野さんが脚色し始めたのは1970年代以前からで、先日和田勉氏の訃報の際にふれた『天城越え』(1978NHK)も大野靖子さんの作品ですし、他にも映画、テレビドラマで何本か手がけたようですが、とりわけ1980年代以降、大野靖子さんの脚本による清張作品が目につくようになったのです。

 これは、松本清張さんが自己の原作を2時間ドラマ化する際に粗製濫造を防ぐため、自ら主宰する霧企画を製作に関与させ、脚本を準備段階で映画監督の野村芳太郎氏ら清張の信頼するスタッフが事前チェックする体制を設けたこととも関連しています。凡庸な脚本だとドラマ化が認められなくなったわけで、1983年には、松本清張原作で2月に放送する予定だった『蒼い描点』(フジ)が、当初の脚本の出来が悪く却下され、いったん製作がストップ、脚本家を石森史郎氏に代え製作再開、2ヶ月遅れで5月にオンエアされるという事態も発生しました。(ちなみにこのあおりでこのドラマ、主演がスケジュールの関係で当初予定だった市毛良枝から藤谷美和子に変更されたそうです)

蒼い描点 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-20315

 どこの製作会社も視聴率がとれる松本清張作品のドラマ化には熱心で、松本清張氏の許可を得るため、清張さんの信頼があり、一定品質以上のレベルの脚本を書いている人が厳選されるようになり、結果、大野靖子さんが清張原作の脚本担当として依頼されるケースが増えていったのだと思います。そして事実、その期待に大野靖子さんは見事に応えていきました。今、再見しても唸らされるような渋い味わいのある清張原作の2時間ドラマを多数、生み出していかれたのです。

(余談ですが、清張さん亡きあと、霧企画も解散し、上述のような形での品質チェックはなくなってしまいました。そのせいかどうか分かりませんが、この十年ほど清張原作ドラマの質的低下は著しいように映ります。かつての清張ドラマならおもしろい、というブランドイメージも低下しているのではないでしょうか)

 今、松本清張原作、大野靖子脚本のドラマのリストを眺めてみると、ちょっとあらすじ、出演者を見ただけでほのかに作品のアウトラインが頭に浮かんでくるようです。16:9の画面比のワイドサイズのテレビ放送が定着するにつれ、かつての4:3の画面比で製作されたドラマの再放送が減りつつある中ですが、こういう優れたドラマ群はぜひとも今後も再放送していってほしいものです。あるいはネットでの視聴機会やDVDなどのパッケージ化をお願いしたいところです。

【松本清張原作、大野靖子脚本のテレビドラマ】

番組名 タイトル キー局 制作年 演出 出演 連続・単発
おんなの劇場 霧の旗 CX 1969 宇留田俊夫 栗原 小巻、三国連太郎 連続
土曜ドラマ 遠い接近 NHK 1975 和田  勉 小林 桂樹、笠  智衆 単発
土曜ドラマ 天城越え NHK 1978 和田  勉 大谷 直子、佐藤  慶 単発
土曜ドラマ 火の記憶 NHK 1978 和田  勉 高岡 健二、秋吉久美子 単発
  ザ・商社 NHK 1980 和田  勉 山崎  努、片岡仁左衛門 連続
土曜ワイド劇場 寒流 ANB 1983 富本 壮吉 露口  茂、梶 芽衣子 単発
火曜サスペンス劇場 一年半待て NTV 1984 松尾 昭典 小柳ルミ子、勝野  洋 単発
火曜サスペンス劇場 わるいやつら NTV 1985 山根 成之 名取 裕子、古谷 一行 単発
火曜サスペンス劇場 夜光の階段 NTV 1986 松尾 昭典 古谷 一行、坂口 良子 単発
火曜サスペンス劇場 渡された場面 NTV 1987 松尾 昭典 古谷 一行、坂口 良子 単発
木曜ゴールデンドラマ 六畳の生涯 YTV 1987 富本 壮吉 植木  等、ちあきなおみ 単発
火曜サスペンス劇場 やさしい地方 NTV 1988 松尾 昭典 古谷 一行、加藤 治子 単発
火曜サスペンス劇場 家紋 NTV 1990 山根 成之 若村麻由美、萩原 流行 単発
土曜ワイド劇場 黒い空 ANB 1990 長尾 啓司 藤  竜也、赤座美代子 単発
土曜ワイド劇場 数の風景 ANB 1991 松尾 昭典 古谷 一行、島田 陽子 単発
金曜ドラマシアター 波の塔 CX 1991 藤田 明二 池上季実子、神田 正輝 単発
火曜サスペンス劇場 喪失の儀礼 NTV 1994 松尾 昭典 古谷 一行、洞口 依子 単発
松本清張特別企画 夜光の階段 TBS 1995 大室  清 東山 紀之、黒木  瞳 単発
土曜ワイド劇場 書道教授 ANB 1995 松尾 昭典 風間 杜夫、多岐川裕美 単発
火曜サスペンス劇場 留守宅の事件 NTV 1996 嶋村 正敏 古谷 一行、余 貴美子 単発
火曜サスペンス劇場 恐喝者 NTV 1997 松尾 昭典 古谷 一行、藤 真利子 単発
月曜ドラマスペシャル 聞かなかった場所 TBS 1997 松尾 昭典 風間 杜夫、大島さと子 単発
松本清張サスペンス特別企画 熱い絹 YTV 1998 鶴橋 康夫 鈴木 京香、村上 弘明 単発
女と愛とミステリー 家紋 BSジャパン 2002 長尾 啓司 岸本加世子、大地 康雄 単発
女と愛とミステリー 喪失の儀礼 BSジャパン 2003 廣瀬  襄 泉 ピン子、大地 康雄 単発


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(2009/04/22)
市原悦子、松原智恵子 他

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(注)大野靖子脚本作品は『寒流』が収録されているのみのようです。

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