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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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苦戦する1月期ドラマの中で光るもの

 申し訳ありません。先の更新からだいぶ時間が経ってしまいました。

 前回の記事でも書きましたが、今クールは残念ながら不調のクールに終わりそうです。なかなか興味を持って見続けたいと思えるドラマが少ないです。
 私の場合はドラマが好きで、ただドラマを見ているだけで基本的に楽しい人間なので視聴していますが、普通の人なら、とっくの昔に視聴を断念されている人が少なくないのかも知れません。

 今クールの特徴である大量の刑事ドラマ、とりわけ「プロファイリング」「犯罪心理分析」ものが大部分を占めている部分については、その後、各ドラマともそれぞれ微妙な方向変換をはかっているようにみえます。視聴率が懸念されていたとおり低調に推移していることも影響しているのかも知れません。とはいえ、途中で路線変更しても面白くなることは少ないわけで、なかなかしんどい状況であることに変わりはありません。

 現在放送中の刑事ドラマの中で敢えて挙げるなら、安定して円熟味を増し一層精彩を放ち始めた『相棒 Season9』、当初から堅実に純然たるコメディタッチとしての面白さをメインに据えている『デカワンコ』(日テレ)の2本が健闘している状況です。

 それ以外でちょっと記憶にとどめておきたいドラマを挙げるとすれば、『美しい隣人』(関西テレビ)、『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジ)、『冬のサクラ』(TBS)あたりでしょうか。
 そして、この3本の中では、『美しい隣人』が今のところ最も好調に映ります。

美しい隣人 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-44285

 脚本は神山由美子さん。もともと定評のある方で、今回も物語の推移と場面場面の遷移が見事。ストーリー自体はありがちなのですけど展開の紡ぎ方に引き込まれます。ドラマ通の間では今クール、このドラマをイチオシにしている人が少なくないようです。確かに冴えたドラマだと私も思います。
 ですが敢えて欲を申し上げると、このドラマ、以前どこかで見たような既視感が漂うドラマであるところがちょっと残念だったりします。
 ひと昔前に日本テレビ系の今は無き月曜22時、あるいはそれ以前、土曜22時の枠、すなわち大阪・読売テレビがキー制作の連続ドラマ枠で、放送されていた、どこかマイナー感ただよう雰囲気がこのドラマにも漂っているのです。マイナー指向それ自体は悪くはないですし、もともと神山さんの出世作はこの読売テレビの枠でオンエアされた『悪女(わる)』なのですから、生粋のこの枠のテイストをお持ちなのかも知れません。

悪女(わる) - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-28489

 ただ、たとえばちょうど1998年1月期にこの月曜22時枠でやっていたドラマ『冷たい月』(瀧川晃代尾崎将也脚本)あたりは今回の路線にかなり近いです。この『冷たい月』は中森明菜扮する流産した女性が、流産の原因となった女性に逆恨みをしてその女性の隣家に引っ越してきて、復讐を始めるというお話。まぁ、少なくとも物語の構造はちょっと似てしまっているわけです。

冷たい月 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-32552

冷たい月 VOL.1 [VHS]冷たい月 VOL.1 [VHS]
(1998/10/05)
永作博美、中森明菜 他

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 まぁ、この手のドラマはよくある話ですし、『美しい隣人』がこのドラマのパクリではないか、というつもりもありません。ただ今回の『美しい隣人』自体、悪くないドラマなのですけど、どこか既視感漂うのが残念なのです。神山由美子さんほどの書き手ならもっと違う視点のドラマが見たかったような、気がしないでもないわけです。

 さて、それでは続いて、残りの2本、『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジ)、『冬のサクラ』(TBS)について語ってみます。

 この2本は、前回の本ブログでもタイトルだけ取り上げています。両者とも若手脚本家の手による作品ですが書き手の巧さが伝わってきます。ですが、残念ながらその腕前が十分に生かしきれていないように映ります。

 『大切なことはすべて君が教えてくれた』は、視聴者の興味を持続させる手腕は見事で、お話がどう転んでいくのかという点にグッと見ている側の興味を引きつけて第5回まで引っ張ってきました。ここまで視聴者の興味を持続させる書き手の技能は確かなものと思えます。

大切なことはすべて君が教えてくれた - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-44237

 残念に思えるのは過度に視聴者の興味を持続させるところに比重を置きすぎているように映ってしまっていることです。
 率直に申し上げてこのドラマ、興味を持続させられる「巧いドラマ」であると思えるものの、心に残る、いわゆる「いいドラマ」にはなり得ていない、残念ながらそう思ってしまっています。
 その一つの要因は、「視聴者の興味を持続させる」ことに熱心すぎて、ドラマとしてもっと大切なものが犠牲になっているように映るところです。典型的だと思えるのが、視聴者に伝えるべき物語を意図的に視聴者に歪めて第5回まで引っ張ってきたところ。「ネタばれ」になるため詳述は避けますが、ご覧になっている方ならおわかりのように、第1回目の冒頭から展開してきた物語自体、ある重要な事実を示さず意図的にトリッキーな組み立てでここまで進めてきていたのです。それが第5回ではじめて明白になりました。
 ただすでに第1回から、目の肥えた視聴者は「この導入部には何か仕掛けがあるな」と感じさせる雰囲気が漂っていて、そこがどうも落ち着かなく物語に親近感を失わせる要因にもなってきました。
 先日放送された第5回でようやくその仕掛けが公然化されたわけで、なぜこんな仕掛けをしたのかといえばおそらく第一の意図は「視聴者の興味を持続させるため」だったのでしょう。確かにこういう物語構造にしたゆえ「視聴者の興味を一定、引きつけることに成功した面はあるように思えます。
 ですが、その代償も小さくなかったのではないでしょうか。第5回に至るここまで、三浦春馬扮する主人公の気持ちというものが見ているこちら側にしっくりと収まらなかった。それはなぜかといえばドラマ自体が「仕掛け」にこだわっていたために主人公の気持ちを視聴者に伝える部分に阻害が生じていたことも一因だったのです。ようやくこれから主人公の気持ちが見ている側に伝わっていくことになるのかも知れませんが、ドラマはもう次回、第6回です。ちょっともう遅すぎるようにも見えるのです。確かに興味を引く手法としてはいいけど、こういう仕掛けのあるドラマをもう一度観たいと私は思いにくいです。
 せっかく筆力のある書き手だと思えるのに、こんなあからさまな仕掛けを放り込む必要があったのでしょうか。
 ひょっとしたら書き手の意図ではなくプロデューサーあたりからの判断でこんな構造のドラマにしたのかも知れませんが、あまりにもったいない。この書き手ならもっとストレートな物語でも十分、われわれを感動させることができたのではないでしょうか。

 後者の『冬のサクラ』(TBS)も、丁寧にヒロインと田舎の独身男との心情の機微を描いている点は目を惹き、書き手の筆力が十二分に認められるのですが、そこに高嶋政伸高嶋政宏扮する異常な亭主の設定を持ち込んだのが、ちょっと意図を疑ってしまう。非常にもったいない気がしてなりません。

冬のサクラ - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-44288

 普通の亭主のもとで不自由なく生きてきたヒロインが、田舎の純粋な男にひかれ心を傾けていく…というような、もっとシンプルな恋愛物語にしたほうが、この書き手はもっと魅力を発揮できたのではないでしょうか
 浮気もするし偏執的に妻を監視するという異常な亭主であるなら、ヒロインの気持ちが他に傾斜していくのはそもそも当たり前でしかない。そんな他動的な要因ではなく、自然の力で心が草に傾いていく物語が見たかった気もするわけです。まぁ、ここまでいくともはや別のドラマなのかも知れませんが(笑)。
 まぁ、こんな余計な「装飾」は書き手が望んだことではなくプロデューサーサイドからの発案だった可能性もあります。TBS的な立場なら、かつて『ずっとあなたが好きだった』というドラマでちょっと不気味な亭主役「冬彦」さんを登場させて大人気をさらったことがあって、その成功体験をもとに同じような不気味さ漂う亭主を登場させることでかつての夢を再来を狙ったのかも知れません。だとしたら、それは空回りに終わりました。視聴者の目を引く手段を誤ってしまった可能性が高いように映ります。

 残念ながら、こういうふうに、今のところ、視聴する立場にとっては、ちょっとこの1月期はしんどい状態であります。

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