てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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2011年1月期の連ドラは大苦戦

 今は2011年1月期のドラマもほぼ出そろい、導入部が進んでいるところですね。主要時間帯枠ではあとはテレ朝系日曜23時の『Dr.伊良部一郎』が30日放送開始でしょう。
 そんな1月期をひととおり眺めてみた率直な印象ですが、残念ながら今ひとつ、ピンと来るドラマがありません。

 今ひとつ、といいますか、これはちょっとヒドイ・・・。

 私はドラマ研究者としてあまり多くの人に悪い情報をご提供したくありません。少しでも多くの人にテレビドラマを見ていただいてテレビドラマの面白さを知って欲しいと思うからです。
 ですが、そんな私にも、今クールのドラマ群は残念なことにちょっといいものが少ない、と言わざるを得ません。前クールはわりと充実したクールに映っていただけに今クールとのあまりもの落差にちょっと愕然とさせられるほどです。
 私にとっては、ちょうど昨年1月期と同じぐらいいいものが少ない状態です。

 ネットの各所でも語られているように、今クールのドラマって、刑事ドラマがあまりに多いです。でもそれは、まぁ、いいのです。刑事ドラマが多かろうと、その中に心を動かされるような作品があれば構わないのです。
 ですが、残念ながらそういう大量の刑事ドラマの多くが同じように「プロファイリングもの」か、そうでなくても「犯人像を心理学的な手法で割り出す」ドラマなのですね。もちろん面白ければそれでいいのですが、いずれも判で押したように面白味のない出来栄えなのです。
 いずれも、一見不可解に思える猟奇的な犯罪に対して、通常の捜査班とは別に「プロファイリング」専門チームや分析者が捜査を進めるというお話。通常の捜査班からは「プロファイリング」の描く犯人像に対して懐疑的な眼が向けられ続けます。でも、結局は最後のところで、やはりプロファイリングチームや心理研究家の分析が当たって逮捕に行き着く、いう、まぁ、ありがちなパターンを今のところ毎回ご丁寧に敷衍しています。

 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、「プロファイリング」ものや、「犯罪心理学」もの、というドラマには、構造上の決定的な弱点があります。すなわち、いくら異常心理の犯罪者を描いていて興味をひいていようと、プロファイリングされた犯人像のとおりの犯人ということは、結局は心理学上で説明されうる類型的な犯人ということなのです。どうしてもこの手のドラマは類型的な人物造型になりがちなわけです。ですから、その呪縛をいかに脱していくかが「プロファイリング」ドラマの課題なのです。
 ところがそういう課題を何も解決させず、芸のないままにドラマにしてしまっているような印象なのです。

 さらに「一話完結型の刑事ドラマが抱える構造的な弱点」がこれに加わってしまっているのです。刑事ドラマの「いいところ」は、第1回から順番に観なくても途中抜けがあってもそれなりに物語を楽しむことができるところにあるように思えます。ところがその反面、どうしても主人公たち、刑事の側の内面的な問題や生き死にに関わる物語ではなく、毎回、刑事が捜査の対象とする事件を解決するための物語であるがゆえ、視聴者が仮託する主人公たちとは別の人たちの、いわば他人の他人の人生の出来事を描くことになり、結果的に傍観者的な感覚のドラマになってしまいがちなのです。
 そういう、ただでさえ傍観者的な内容になりがちな刑事ドラマに「プロファイリング」要素を何の芸もなく投入すれば、どうなるかは予想できてしまうはずです。

 そして私には、多くの弱点を抱えたまま、どのドラマも何の新機軸も打ち出さないまま、毎回のドラマを送り続けているように映るのです。

 今クール、数ある刑事ドラマの中では、「プロファイリング」ものではないドラマもあります。その代表格は『フェイク』(NHK)あたりなのですが、このドラマは残念ながら昔ながらのNHK大阪放送局の作る刑事ドラマから一歩も踏み出せていません。東映との共同制作だというのに、ちょうどかつて門脇正美氏あたりが作っていた刑事ドラマのバリエーションでしかないのです。(余談ですが、NHK大阪放送局のドラマって視聴する側の画面サイズの想定が未だに18インチ程度の印象の「絵」づくりにみえます。大画面テレビを想定に入れたもう少し厚みのある「絵」が出せないものなのでしょうか。)
 もう1本、『悪党~重犯罪捜査班』(テレ朝=ABC)も「非プロファイリング」ものですが、こちらは昔ながらの現代版『仕事人』路線で警察機構の中でなぜこんな集団が成り立っているのかが、今までのところでは理解できない面があります。

 そうなると、今クールのたくさんある刑事ドラマの中で私にとっては、以前から安定した面白さを持続しつつ及川光博が定着して新たな魅力を生んでいる『相棒 Season9』、あるいは単純な面白さを追求した『デカワンコ』(日テレ)が相対的に健闘しているように映っています。

 あとは非「刑事ドラマ」に望みをつないでしまうわけです。その中では大河ドラマ『江~姫たちの戦国』(NHK)が真っ先に頭に浮かびます。そのほかでは『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジ)、あるいは『冬のサクラ』(TBS)あたりに期待をつないでいるところなのであります。

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