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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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ようやく明確になってきた『龍馬伝』が目指す方向

 すいません。ちょっとこのところブログ更新が遠のいております。

 10月ドラマの視聴は快調に進んでいるのですが、「何か語りたい」という欲求がどうも薄れているようです。出来が良くても悪くても「つい何か言いたくなる」というドラマというのはあるものですが、今のドラマの中ではそういう衝動に駆られるドラマがどうも少ないのかも知れません。あるいは単に私自身の中の「マイブーム」が今ひとつ盛り上がらないだけなのかも知れません。

 とはいえ、前から書いておりますように、そんな中でも、前クールからの継続作品である大河ドラマ『龍馬伝』がラストフィニッシュに向けて熱中して視聴させていただいております。
 とりわけ、思わず、へぇ~とため息が漏れるほどの出来だったのが、第43話「船中八策」でしょう。もうすでに数週間前のエピソードですが、今振り返っても、このエピソードはなかなか見事でありました。
 これまでこのドラマが劇中で何に重点を置いて描いてきたのかがここで明瞭な形で浮かび上がりました。

 龍馬の披露する新政府綱領八策に感嘆する中岡慎太郎。彼は思わず感激のあまり感涙しますが、その興奮は、見ている我々視聴者の感覚でもありました。思わす「へぇ~」といいたくなる見事さがそこにはありました。それまで散発的にばらばらに描かれてきたかのような過去の場面の断片がそこで見事に積み上がったような感覚でした。

 司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」以来なのかそれはよく分かりませんが、少なくとも長年、多くの「龍馬の物語」が定石のように見せ場としてきたところというものをこのドラマは実にサラッと描いてきました。そこはちょっと意外に思っていました。例えば、千葉道場における「さな」との恋愛模様などは、思わず「おいおい」と言いたくなるほど、実にサラッと、もはや淡泊すぎるほど、簡単に描いてきました。その一方で、武市半平太の死に至るプロセスを執拗なまでに延々と描きました。
 この『龍馬伝』では、これまでの「龍馬の物語」と比べて、そのあたりの重心の違いが際だっていたように思います。それがナゼだったか。
 その意図がこの回である程度、明らかになったように思うのです。

 このドラマは、龍馬の人間物語を描きつつ、その向こう側に、政治体制の仕組みを積み上げる龍馬の成長プロセスに主眼があった。回を追ううち、我々はそのことに薄々とは気づいていましたが、それが明瞭な形で姿を現したのがこのエピソードだったように思えます。

 これまで散発的に描かれてきたかのようだったこのドラマの個々のエピソード。龍馬が経験したいろんな人たちとの出会い。ぶつかりあい。それらがすべて結実したのです。
 それはいろんな人と直接会ってその人の話を先入観なしで聴くという龍馬の持つ特質からこそ実現できたことだった。そのことがこの場面で一気に集約された感があり、ちょっとした感動的なカタルシスを感じさせられたのです。

 そして、やはり思うのは、これがやはりこのドラマの脚本家・福田靖氏ならではの視点なのだということです。『HERO』や『CHANGE』など、これまで国の権力機構に視線を向けてきた脚本家ならではの視点であります。
 『HERO』や『CHANGE』など、私はこれまで福田さんのドラマを前向きに推してきました。それは他の批評家と比べるとちょっと浮き上がっていたほどだと思います。いずれもエンタテイメント要素が強い作品でした。ある意味、単純明快でどこか生硬さも漂う作品群でした。ですが、私はその中に漂う、政治や行政などの国家観のようなもの思想を唯物的でなく個々の人物の思いの総体という形で組み立てていく、そういう、この作家の持つ一つの方向性に惹かれてきたのです。
 そういう、『HERO』や『CHANGE』があったからこそ、この作家は『龍馬伝』にたどり着いたのです。作家の中で思想が深化するプロセスを同時体験しているようなライブ感覚。そんなものをいっしょに味わっている。そんな錯覚すら漂います。それは希有な感覚なのかも知れません。

 これまで描かれてきた龍馬の物語とは違う視点で描いた別の龍馬伝が仕上がりそうな、そういう沸き立つ気分がこのドラマには漂っています。これからフィニッシュに向けて目が離せませんね。

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(注)このブルーレイボックス1には前述第43話「船中八策」は収録されておりません。

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