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俳優、根津甚八さん引退

 私がスペインに行ってのんびり観光している間に、テレビドラマをめぐる出来事がいろいろと勃発していたようです。
 その最たる出来事が俳優の根津甚八さんの引退表明でしょうか。

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http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100906/tnr1009061011003-n1.htm
産経新聞(MSN産経ニュース)より引用

根津甚八が俳優業に終止符 妻がテレビで明かす 
2010.9.6 10:11

 俳優の根津甚八(62)が俳優生活に幕を下ろしていたことが、6日分かった。同日朝放送の「スーパーモーニング」(テレビ朝日系)で妻の仁香さん(47)が「根津甚八はもう表舞台には戻らない」と告白し、本人もテレビには一切出ないことを断言しているという。
 俳優業に終止符を打った理由については、満足する演技ができなくなったことを挙げ、映画やドラマの依頼をすべて断っているという。表舞台には立たないが、今後は演出家や脚本家として活動するという。
 根津のブログは平成20年2月8日で休止しており、「60歳になった今、思うところあって、これからの生き方を模索しています。今しばらく、じっくり考える時間、充電する時間をいただきたいと考えています。(中略)今より一回り大きくなって、皆様にお目にかかりたいと思います」とつづっていた。
 根津は平成12年に「右目下直筋肥大」を発症。原因不明の「顔面の奇病」といわれ、発声のリハビリを兼ね通院治療をしていたが、2年後に東京・目黒区内で人身事故を起こし活動を停止。昨年、週刊誌でうつ病を患っていることが明らかにされた。9月29日には仁香さんの著書「根津甚八と生きて~うつとの闘いと青春の日々」(講談社)が発売される。
 根津は黒沢明監督の「影武者」などに出演。昭和57年に「さらば愛しき大地」でキネマ旬報主演男優賞日本アカデミー賞主演男優賞を受賞している。
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 向田邦子さんの評伝などを読んでいると、根津甚八さんを見いだして自作『冬の運動会』の主役級に抜擢したころ、向田さんは周囲に根津甚八さんのことをかなり激賞されていたようです。

 率直に申し上げますと、私には向田さんが激賞したという、根津甚八さんの凄さがまだ完全には理解できていません。
 例えば、前述の当の向田邦子さんによるドラマ『冬の運動会』(1977 TBS)でも、根津さんの存在は悪くはありませんが、そんな突き抜けた凄さまでは伝わりませんでした。あるいは大河ドラマ黄金の日日』(1978 NHK)での石川五右衛門役が素晴らしいと一般にいわれることが多いのですが、まだ小生が年少だったせいか、やたら黒っぽい顔の役柄だったという記憶しか残っていません。こちらは再放送ででも拝見して再認識しないといけませんが。

根津甚八 (俳優) - テレビドラマ人名録 - ◇ テレビドラマデータベース ◇

 私は『早春スケッチブック』(1983フジ)でテレビドラマの面白さに気づいたわけでして、それ以降は割とキッチリとドラマを追いかけています。というわけで私にとってテレビドラマでの根津甚八さんとしてはどうしても『早春』以後の時代のドラマでの印象が大きく、例えば『親戚たち』(1985フジ)での根津さんが印象に残っています。「サントス」とかいう名前の故郷・諫早のスーパーマーケットのチェーンを経営する謎の人物、という設定でした。とはいえ、このドラマの根津甚八さんも向田さんが激賞したというほどの「凄み」が漂っていたわけではありませんでした。
 1980年代後半には、『誇りの報酬』(1985日テレ)という中村雅俊とコンビの刑事ドラマにも根津さんは出ておられましたが、こちらもあまり元気がなかった。といいますか作品自体が良くも悪くも東宝製らしい刑事ドラマで、東映系『あぶない刑事』の枠(日テレの日曜21時)でオンエアするにはちょっと生真面目すぎて元気のない登場人物たちばかりで、面白味に欠けました。
 1990年代に入ってからの根津さん出演ドラマとしてもっともポピュラーと思えるのが『誰かが彼女を愛してる』(1992フジ)だと思われますが、こちらも父子が同じ女性(中山美穂)を好きになってしまうというお話で、根津さんは父親のカタブツの教授役でした(息子は的場浩司)が、ここでも「コミカルな役柄も出来ますよ」的な芝居であり、向田さんが言った、「凄みある根津さん」というイメージを実感することは到底ありえませんでした。

 と、こう考えてみるとあまり根津さんがテレビドラマで本領を発揮されたケースというのは少ないのではないか、という結論に行き着いてしまいます。
 で、案外、テレビドラマで最も根津甚八さんが根津甚八らしく、光り輝いていたのは山田太一脚本想い出づくり。』(1981 TBS)での「特別出演」だったかも知れません(笑)

 向田邦子さんにあれほど凄い凄いと言われた根津さんの本領を発揮した芝居というものをぜひ見たかったものです。あのドラマでの根津甚八さんはすごかったよ、というような情報があればぜひ教えてください。

 まぁいずれにせよ、残念なことに根津甚八さんのそういう凄い魅力をあまりテレビドラマは引き出してこなかったのは確かかも知れません。
 根津甚八さんもそうですが、同じようにテレビドラマが良さをうまく引き出せないままの俳優に、世代はやや違いますが、林隆三さんがいらっしゃるような気がします。林さんの場合も1980年代に山田太一脚本『真夜中の匂い』(1984フジ)あたりでパッと光り輝いたのですがそれ以降、林さんのせっかくの持ち味を生かしたドラマというものにお目にかかっていないような気がするのです。そしていつの間にか林隆三さんも中年ならではの円熟期の輝きを生かせずお年を重ねてしまっておられます。このあたり、根津甚八さんと同様に、ずいぶんもったいない気がしてならないのです。

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