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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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脚本家が原作付きの脚本を出版する場合、原作者の許諾が必要との判決

 10日間のスペイン旅行から帰ってまいりました。いろいろと印象の多い旅行でしたが、中でもバルセロナは活気のある魅力的な街でした。

 帰国して久々に今朝11日の新聞を読むと、どうにも気になるニュースが目に入りました。

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http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010091001000511.html
47NEWS/共同ニュースより引用

絲山さんの出版拒否認める 映画シナリオ、東京地裁

 芥川賞作家絲山秋子さんの小説を映画化した作品「やわらかい生活」(2006年公開)のシナリオ出版を拒否したのは不当として、脚本を手掛けた荒井晴彦さんと「シナリオ作家協会」(東京)が絲山さんに対し、出版妨害禁止や1円ずつの損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は10日、請求を棄却した。
 岡本岳裁判長はまず、絲山さんから著作権の管理を委託された雑誌社が、映画制作会社に原作の使用を許諾した契約の「一般的な社会慣行並びに商慣習に反する許諾拒否はしない」との規定は「契約当事者ではない荒井さんらには適用されない」と判断。
 その上で「脚本執筆や映画の公開、DVD化などをすべて了解しながら、出版だけを拒むのは理解できない」との荒井さん側の主張を「映像化に関する許諾と活字化を同列に扱うことはできない」と退けた。
 判決によると、荒井さんは絲山さんの小説「イッツ・オンリー・トーク」を脚本化。協会が「年鑑代表シナリオ集」の2006年版や07年版への収録を求めたが、絲山さん側は「原作のストーリーから大きく逸脱している」などの理由で拒んだ。
 荒井さんと協会は「金額の問題ではない」として1円ずつを請求していた。

2010/09/10 17:19 【共同通信】
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 細かい判決文を読まずに、報道だけを読んだ限りですが、オリジナル脚本ではなく、元となった原作をもとに脚本が書かれ映像化された映画やテレビドラマの場合、その映像作品の脚本を脚本家が出版したい場合、原作者の許諾が必要だ、という判決のようです。
 原作者は制作会社に原作の映像化の二次利用を許諾したが、その脚本を脚本家が書籍する場合、脚本家は制作会社と別の存在であるので原作者の許諾が必要だ、ということのようであります。

 これまで原作付きのシナリオの出版については明文化された規定がなく、通常の場合、小説の二次利用を許諾したかぎり、その脚本を出版しても許されるだろう、というような漠然とした認識で出版が行われてきたのではないでしょうか。
 今回は原作者が、映像化された作品の脚本が原作とかけはなれた内容でそれに納得できなかったため出版を拒絶したケースではありますが、判決が確定すると、原作付きの脚本をこれまでのように曖昧な感覚で出版することは困難になりそうです。このルールに縛られてしまうわけで、多少、原作付きの場合に脚本自体を出版することに手間が増えることになりそうであります。

 結果論で申し訳ありませんが、できれば訴訟に持ち込む以前に、脚本家サイドと原作者とが、納得いくまで映像化の意図について理解を重ねる努力が必要だったのではないでしょうか。まぁ、それが出来ていたらそもそもこんな訴訟は起きなかったのでしょうけど…。ひょっとすると脚本家は通常の商慣行があるのだから当然勝てる、と思われていてそのあたりの対応が疎かだったのかも知れません。これは予想外の判決だと受け止められているかも知れません。
 ドラマ研究者としては原作付きの脚本もどんどん出版されてほしいです。今回の対象となった「年鑑代表シナリオ集」は貴重な書籍であり、私も自宅の書棚に過去のバックナンバーがズラリと並んでいます。当然、脚本として素晴らしいのであれば収録していただきたいと思うのです。しかしだからといって原作者の意向を疎かにしていいというものでもないのでしょう。
 この判決はちょっと痛いかも知れません…。「判決」が残念というより「訴訟に至ってしまったこと」が残念であります。

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