てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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『ゲゲゲの女房』の成功を改めて考察すると

 さて、連続テレビ小説ゲゲゲの女房』もあと1ヶ月半を残すのみとなりましたね。
 『ゲゲゲの女房』の作品スタイルとしての成功要因は、お話が分かりやすくて面白い、ということなのかも知れません。これは簡単そうで難しい。
 「ドラマ玄人」だけに限定しない、まさに万人受けの素材です。NHKが総合テレビでの放送枠変更という転機ゆえ、こういう万人受けする素材で、しかも面白く!という点が要請されたのでしょう。そういう局編成サイドの意図を見事実現した作り手の健闘も見逃せないわけです。
 一風変わったマンガ家と結婚し、田舎から東京に出て貸本漫画家として生きていくものの、極貧生活。もう芽が出ないんじゃないかという限界ギリギリの日々。このあたりの展開は見ているこちらも苦しかった。
 ですが昔の日本の苦しい時代を経験してきた世代がここで食いついた。あるいは何でも簡単にモノが手に入る今の世だからこそ、我慢して生きるということの尊さが浮かび上がったりと、見ている者の琴線に触れるものがあったのです。
 そして7月に入り、展開はようやく週刊マンガ雑誌での連載スタートに至り、それがテレビ化され、以後はあっという間に人気作家に。人気作家になってからは、人気作家ゆえの苦労話や子育てをめぐるお話が展開していきそうです。朝っぱらから苦労話とはどうかと思うのですけど、誰でも知っている水木しげるさんの草創期の話だと知っているから、「いつかこの苦労も報われるのだ」と知っているからどこか安心して見ていられる面も朝ドラ向きかも知れません。そして、見ているうち、思わず気持ちが熱くなるところもよかった。

 そしてもう少し若い層にとっては、今では誰でも知っている『ゲゲゲの鬼太郎』というマンガ、あるいは誰でも知っている存在の少年マンガ誌などの、あたりまえのように存在している普遍的なものが、普遍的でなかったところからどのように発展してきて今の地位を得ていったのか、そのルーツに触れたい、というところに興味が生まれたのかも知れません。「ゲゲゲ」が水木しげるさんの子どものころからのあだ名から来ているというのもこのドラマを見て知った人が多いと思います。

 これは以前も触れましたが、ややマニアックに見ると、これまでの、手塚治虫中心のマンガ発展史ではないところが目新しい面があります。かつて『まんが道』などで描かれた藤子不二雄さんなど手塚治虫さんの薫陶を受けたトキワ荘の人たちも出てきません。今までテレビドラマがスポットをあててこなかった、貸本マンガ家の出世物語であり、やや裏面的なマンガ史をテレビドラマというメディアでやったところが目新しい。
 最初、「ゲゲゲの女房」を朝ドラでやる、と聞いたとき、そのタイトルに違和感を覚えました。朝っぱらから「ゲゲゲ」とは…というミスマッチ感を抱いたことを覚えています。ですが、今から考えるとそのミスマッチ感が良かったのかも知れません。重要なのは「ゲゲゲ」。「ゴジラ」だとか「ガメラ」だとか、「ガギグゲゴ」の語感は、人間の原初的な本能に訴えかけるものがある。何かちょっと不気味さが漂う。どんな内容なのだろうとついつい見てしまう。人間の本能に訴えかけるものがあるのかも知れませんね。

 それとマジメなキャラの松下奈緒さん演じる布美枝が時折みせる、ズッコケの様子とか、当惑の表情が面白い。水木しげるの元にやって来て金儲けの話ばかりする杉浦太陽さん演じる浦木克夫に対する布美枝の愕然とした表情が笑わせてくれます。このあたり、松下奈緒さん、コメディエンヌとしての素質がありそうです。

 ただ一点、このドラマは、女性の解放という視点からドラマを分析している人には恐らく評判は悪いだろうなと思えます。松下奈緒さん演じる女房というのは完全に亭主の生き方を支えるだけの存在になっている。そういう描き方はやはり女性の解放という視点からは好ましくないように映るのではないでしょうか。
 例えば朝日新聞大阪本社版にたまにテレビ関係の文章を寄せるライター・島崎今日子さんあたりはあまりいい感じをもっておられないのではないでしょうか。まだ島崎さんが『ゲゲゲの女房』について触れた文章を見たことがないのであくまで想像なのですがいかがなのでしょう。それがちょっと残念といえば残念であります。

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