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書評「にっちもさっちも-人生は五十一から」小林信彦著(文春文庫刊)

にっちもさっちも―人生は五十一から〈5〉 (文春文庫)にっちもさっちも―人生は五十一から〈5〉 (文春文庫)
(2006/04)
小林 信彦

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 最初に氏を知ったのは確か「横溝正史読本」。もともと横溝作品を熱心に読んでいて宝石の編集者だった小林氏の活動ぶりを知り推理小説の博学ぶりに傾倒。その後、「日本の喜劇人」や「世界の喜劇人」という小林信彦氏の代表作ともいえる名著を読みすっかり心酔、以後ありとあらゆる文章を追っていた時期もありました。「極東セレナーデ」の頃ぐらいが最高潮だったように思えます。
 しかしその後、いつの頃からか、どこにでもいる頑迷な普通のオヤジぶりを発揮するようになってきました。もともと1960年代までの映像・音楽文化を絶賛して最近の作品を軽視する傾向はあったものの次第にそれが激化してきたように思います。昔の記憶というものは浄化されがちであり今観るとそれほどでない作品でさえ絶賛し、返す刀で最近の作品をボロクソに批判する姿勢をみると顔をしかめたくなります。
 政治評論じみたことも含めて世の風潮を嘆く文章を書き始めますます頑迷なオヤジと化しました。
 新潮文庫主体だったころ、若者に媚びようとしたのか、収録されている書籍の書名を次々と横文字混じりの書名に変えはじめ、やがてその新潮文庫でお役払いされたのか品切れが増えて、文春文庫主体のラインナップに移ることになり、この本の文章が連載されているコラムが週刊文春に載り始めたころからちょうどその傾向が増しました。
 というわけでこの本も残念ながらあまり読ませる部分はないわけで2002年に書かれた文章ですが、わずか3年後の今年文庫化されて既に内容が陳腐化しているというのも悲しいものがあります。
 昔の氏のコラムはもっと面白かった。例え時代にモロ浸かった文章であっても、何年たって読んでも新しい輝きのようなものがありました。「時代観察者の冒険」なんて素晴らしかったなぁ。
 かつてのキラキラ光る氏の才覚あふれる文章を再びみることはかなわないのかも知れません。もちろん今でも映像・音楽文化を語る仕事では見るべきものがありますが、小説やコラムは絶望的。それがちと残念でなりません。

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