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書評「メディア・コントロール」ノーム・チョムスキー著

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)
(2003/04)
ノーム チョムスキー

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 今回の話題は、テレビドラマとは関係のない話題です。従って興味のない方は申し訳ありませんがスルーしてください。

 以前からノーム・チョムスキー氏の著書を一度読んでみたいと思っていました。まずは手始めとして、今回、この手頃な新書、「メディア・コントロール」から手に取ってみました。
 タイトルの「メディア・コントロール」から中身は予想がつきました。すなわちメディアによる微妙な情報操作の事例を紹介して、われわれがいかに日々、メディアの作為的なコントロールのもとで世論が誘発されているのかを解明するような本だろうと思ったわけです。
 既にその手の本はいくつか読んでいるため余り面白くないなぁ、と思っていたらそうではありませんでした。

 この本、そんなメディアの世論操作の入り口のところの話ではありませんでした。もっと大きな視点で、世界でアメリカという国家の目指している方向性を厳しく見据え、その上でその政策誘導を行っている米国を中心としたメディアというものの「体制寄り」の姿勢を厳しく断罪しているというものでありました。

 世界というものが表向きの偽善的な態度の裏側に、狡猾な、帝国主義時代となんら代わることのない自国中心主義的かつ覇権主義的な政策が依然として主流を成しているのだという言説を忌憚なく平然と言ってのけるあたり、あまりの切れ味の明快さに一瞬たじろぐほどです。
 世界の状況を、さほど熱心でなくとも一定期間ながめていると、例えばアメリカという国が自由と平和の国だ、なんて言説をおめでたく受け入れる気には到底なりませんし、アメリカは世界の警察のような役割を果たしているのだ、なんて意見に首肯して賛辞を送る勘違いさにも気づくわけです。ですが、本書のチョムスキー氏のようにキッパリと、しかも当のアメリカ在住の上で言い切ってしまうとは、なんとなく天晴れ!という気分になります。
 学校教育や、NHKのごく一般的なニュースなど、そういうものだけで世界の状況を見てきた人だと、本書を読むと世界の状況が違って見える人もいるのではないでしょうか。いつしか、欧米中心史観に固まってしまいがちな昨今の情報の流れの中で、こういう本を読むことは貴重です。もっと多くの人に読んでいただきたい一冊だといえます。

 アメリカで起きた9・11の惨事について当の米国内でアメリカ政府による陰謀説がまことしやかに語られ、そういう書籍が日本語訳でも出回っているという、そういう状況がナゼ一定の力を維持しているのか。その土壌にはひょっとするとそれ以前から米国内において、チョムスキー氏らのような、確固たる政府のとる政策への批判の素地が長年あったことにもよるのかも知れません。

 予想以上に読みやすく、簡潔にチョムスキー氏という人物の考え方のエッセンスの一部を理解できたのは良かったですが、ちょっと本書の内容がやや古い点がやや難点です。
 ただそのおかげでこの中に書かれている推察がその後の時間の経過でもあまり古びれず、むしろ生々しい鋭さが内包されていたことに気づかされた面があるように思います。


読んだ価値:☆☆☆

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