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てれドラぶろぐ

テレビドラマ研究家の管理人が語るドラマなどの話題

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ドラマ論壇へ「にわか参入」してくる異業種ライター

 映画ライターの中には「その場の流行」にあわせて急に書く傾向をかえてくるひとがいらっしゃるなぁ、と思うことがあります。
 そう思った最初は松田優作氏が亡くなられたときの状況でありました。
 松田優作氏が亡くなられ、ひと頃、やたらと松田優作氏に関する書籍や雑誌記事が出まわりました。その中のある程度に目を通したことになりますが、なかなか読み応えのある文章もいくつか散見されたものの大部分は何やら水増し?としかいいようのない中身がスカスカのものでしかなかったのが残念でありました。存命中、ほとんど松田氏のことを追っかけもしていなかったような「映画ライター」が亡くなった途端、「にわか優作研究者」となり、まるで昔から優作氏のことを追っていたかのような文章を書く。そういう人がある程度いたのは否定できないことでありまして、苦笑せざるを得ないものがありました。

 さて、このときはそういう「苦笑」程度のことでした。ところが、それから何年か経って今度は私が長年親しんできたテレビドラマの世界にライターたちが参入してくる事態となりました。
 そう、『踊る大捜査線』関連の一連の狂ったような大騒ぎであります。
 このとき、それまでテレビドラマのことなど何も観ていなかったような連中、どちらかといえば劇場用映画ばかりを観てドラマのことなどバカにして一顧だにしなかった連中。こういった連中が、「にわか踊る研究者」となって、まるで昔からテレビドラマを追っかけてきたかのような文章を書く。以前からテレビドラマの、とりわけスタジオドラマの流れを追ってきた者にとっては当たり前の演出だったり手法だったモノをいかにも新奇なもののように扱ったり、あるいは浅薄なテレビドラマの知識に立脚した粗雑なテレビドラマの系譜なるものを如何にも知ったかぶりで書くようなライターが跋扈して、昔からテレビドラマを基本に語ってきた連中が閉口させられた記憶があります。


 これらに共通するものがあります。何かといえば「記事の需要があるところに群がる浅はかなライター連中」です。
 喰うために何かブームがあると「にわか勉強」して訳知り顔で群がるハイエナのような連中であります。
 こういう連中には共通の奇妙な「ドラマ史観」があります。それは「踊る」によって、テレビドラマ界に新しい大きなムーブメントが起きたかのような錯覚であります。
 こういう連中の次のターゲットは例えば『ケイゾク』だったりしたわけです。

 で、それから何年かずっと彼らの中核ターゲットは『踊る大捜査線』であったようですが、その彼らがどうやらここしばらく新しい特需を見つけて群がり始めていることに気づかされました。
 それは何かといえば『相棒』であります。
 昨年、劇場用が公開されるや否や、「にわか相棒フリーク」が竹の子のようにうようよと沸いてきたのです。まるで昔から『相棒』を追っかけてきたような筆致で相棒を語る人々。まぁ、確かに『相棒』はどちらかといえば映画人による作品ですから映画評論家が書いても不自然ではありません。しかし『相棒』といえば2000年から始まっているのですよ。そのころ、『踊る大捜査線』やら『ケイゾク』にうつつと抜かしていた「映画評論家」連中は『相棒』のことなど一顧だにしていませんでした。
 これは『土曜ワイド劇場』で『相棒』がはじまり、その第一作をその年のベストテンに入れた私が確実に記憶していることなのです。私や他に数名の連中を除き、『相棒』を評価していた人は誰一人いませんでした。
 2002年に連続ドラマ化がなされたときも、彼ら映画評論家の中にとりたてて高く評価する人はいませんでした。このときの状況は昨年出版された「テレビドラマベスト・テン10年史1997-2006」(進藤良彦氏ほか編、愛育社刊)の連ドラに関するベストテン投票をご覧いただいてもある程度分かります。『相棒』の連続ドラマ化第1作をベストテンに選んだ書き手は私のほか、その他数名でしかありません。他の、本来なら『相棒』の良さにもっと早く気づくべきだった映画評論家はこの時点でも『相棒』を一顧だにしていなかったわけです。
 そういう連中が昨年、まるで最初から『相棒』をずっと熱心に追いかけてきたフリークきどりで文章を書きまくりました。思わず苦笑せざるを得ないのは、昔から『相棒』の面白さを静かに楽しんできた相棒ファンたちです。いきなり大勢で集まってきてワイワイ騒ぎまくり、結局、段々と去っていくわけでしょう。
 彼らに共通するのはここ数年で急に『相棒』を「にわか勉強」したというところです。テレビ朝日も劇場用映画公開に向けてこれまでの『相棒』をドドッと再放送いたしました。ひょっとしたら連中の中の何人かはこの再放送ではじめて『相棒』を勉強した者もいたのかも知れません。
 この手の「にわか相棒フリーク」を識別する格好の方法があります。2004年に放送された第3シリーズの第7話「夢を喰う女」を観ているかどうかです。
 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、この「夢を喰う女」、本放送時にオンエアされたきり、再放送もなく一切封印されているエピソードなのです。経緯は私のサイトの当時の「ニュース」にあります。↓



http://www.tvdrama-db.com/news/20050119.htm

2005年1月19日
『相棒』の図書館描写に図書館協会が抗議 局側、今後再放送しないことを表明

 去る12月8日に放送されたドラマ『相棒~3rd Season』(制作・東映=テレビ朝日)の第7回「夢を喰う女」で「世田谷南図書館」の司書が閲覧者の個人情報を捜査令状もなく警察に漏らす場面があり、日本図書館協会や世田谷区の図書館など図書館関係者から 問題であるとの指摘がテレビ朝日ほかに寄せられ、テレビ朝日の「相棒」ドラマ担当から「令状を見せる場面を省略したことは誤解を招く表現で不適切だった」との「お知らせ」が2004/12/15付で表明されていたことが分かりました。

 この第7回では図書館が捜査の重要な舞台となっており、問題となった描写以外でも、高岡早紀扮する図書館司書がその美貌を利用して、図書館利用者である年配者に自費出版を持ちかけ金品を巻き上げ、結果的に殺人事件を引き起こす役柄を演じるなど、図書館関係者 から「図書館のイメージを損ねるのではないか」との声が寄せられた模様です。

 図書館協会によると、テレビ朝日側はこれらの指摘をうけ、(1)このエピソードの再放送はしない、(2)地方の局などに販売はしない、(3)DVDで商品化する際は撮りなおすなどストーリーを変える、(4)局のホームページで内容が適切ではなかったことを明らかにする、などの約束を表明したとのことです。

 なお最近はネット上にこの画像データが転がっているそうで、にわか勉強した人もいるようなので今は必ずしもこれを観ているからといって「にわかフリーク」でない証拠にはならないかも知れません。

 もう一つ、彼らを見つけ出す格好の場が出て来るかも知れません。それは2008年度のテレビドラマベストテンへの投票です。
 『相棒』は前述のとおり2000年からはじまっている息の長い作品です。2008年度も新シリーズが放送されているわけですが、急にイイ作品になったわけではありません。
 ところがですね。2008年の投票から急に『相棒』をベストテンに入れてくるような人が結構、いらっしゃるのではないかと思えるのです。こういうヤツの中に「にわか相棒フリーク」がいるわけであります。

 で、私がいいたいのはこういう「急ぎ働き」の連中の仕事の粗さなのです。別に素人連中が後追いしてにわかフリークになっても大いに結構なことですが、問題なのはプロの物書きなのです。
 要は「喰うために集まってきている」のです。あるいは後追いのくせに「イイ作品はキチンと押さえている」かのように装っているのです。それゆえ彼らは勃興期を知りません。したがって妙にいびつな作品論となりがちなのです。

 なお、以上のことに触れるならもう一つ、過去、「ドラマ論壇」に大きな異種参入が発生したことに触れざるを得ません。
 そう、それは1980年代のこと。アイドル評論家によるドラマ論参入であります。1980年代中盤以降、フジテレビの「楽しくなければテレビじゃない」という動きに合わせて続々とアイドル主演によるドラマ作りが行われます。昔はお正月の「かくし芸」でしかなかったような素人に毛の生えたようなドラマだったものが1990年以降のドラマ黄金期にはなかなか見応えのあるものにまで深化していったのでした。
 その勃興期、「よい子の歌謡曲」など、主にアイドルに関する話題を語っていたかたがたがドラマ論になだれ込んできます。はじめはアイドルがいかに画面映えすか、というような文章をメインにされていたように思えますが、徐々に本格的にドラマ論自体を語るようになっていきます。
 こうして参入してきたアイドル評論の書き手に共通する傾向は新鮮な表現技法でありました。形容の上手い文章派、というところであります。それまで論理的な文章構成が当たり前だったドラマ論に新風を巻き起こしたわけであります。

 彼らの場合、別に一過性のものではなく現在に至るまである程度ドラマ論を「粘り強く」語り続けられているわけでして、前に触れたような、松田優作から『相棒』に至る「急ぎ働き」の連中とは明らかに一線を画している面があります。
 もちろん粗雑な書き手も中にいらっしゃるわけですが。。。

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